ラムリーザ・サーガ フォレストピア創造記

The Ramlyza Saga – Forestpia Chronicle


それでは皆さんご一緒に!

帝国暦九十三年 静寂の月・月影の日(現代暦:十二月上旬)

 昼食を終えた昼休み、ラムリーザとソニアは校舎を出て、校庭を散歩していた。

「昼食時に抜け出して、ごんにゃに行きたかったなぁ」

「無理だろそれ」

 数日前の休日から始まった、ごんにゃとココちゃんカレーのコラボ。その日以来、ソニアは思い出すたびに、ごんにゃに行きたいとラムリーザにせがんでくる。目的は食事ではなく、景品のココちゃんだ。

 例えば昼に学校を抜け出してごんにゃへ行ったとしよう。その景品はどうするのだ? いったん屋敷まで置きに帰るのか? どっちみち確実に昼休み中に戻ってこられない。

 ラムリーザは、ココちゃんさえ景品になっていなければな……と考える。それならソニアはまったく行こうとしなかっただろう。ソニアは、コラボの戦略にまんまとはまっているのであった。

 ならば、ココちゃんを事前に買い占めて、コラボ自体を意味のないものにしてしまうか? だめだ。結局ラムリーザの部屋にココちゃんが増えることには変わりない。

 昨日は忘れていたのか、ソニアはごんにゃに行こうとは言わなかった。早く残りの景品が全部、他の誰かの手に渡ってくれ――ラムリーザには、そう祈ることしかできなかった。

 少し風が吹く。風でミニスカートがめくれそうになり、ソニアは慌てて裾を押さえた。

「さすがにこの時期だと、風も冷たいね」

「リゲルみたい」

「は? なんで?」

 ソニアは答えなかった。

 その言葉から、ラムリーザはリゲルがソニアに少し冷たいことを思い出した。今年はミーシャと再会したからか、去年ほどひどくはないが、確実にリゲルはソニアを見下していると思うのであった。

「去年のあのむっちゃくちゃ寒い日が来たらどうしよう」

 去年の大寒波では、フォレストピアの作物が大打撃を受けた。しかしその一件が、結果的にはユライカナンの食文化に触れるきっかけにもなったので、いわゆる怪我の功名というやつだった。

「今年は大丈夫。屋敷のほうも対策しているし、暖房も付けたよ」

 多少は寒いが、基本的に帝国では、冬でも暖房を必要としていなかった。

 だが、去年のあの酷さを体験したことで、一応備えておこうという話になったのだ。普通なら使うことはないが、備えあればなんとやらである。

 

 校庭をしばらく歩き、中庭に到着。校舎と校舎に挟まれた、静かな場所だった。

 中庭には、低い柵で囲まれた芝生がある。そこには立札が立っていて、「この芝生に入るべからず」と書かれている。

「入っちゃえ」

 ソニアは立札を無視して、柵をまたいで芝生に入ってしまった。内側から手を振って、ラムリーザを招いている。

「後で怒られても知らないぞ」

 そう言いながらも、ラムリーザも続いて侵入する。ソニアだけが怒られるよりは、自分も一緒に怒られようという謎の理論であった。

 二人は並んで芝生に座り込んだ。二つの校舎に挟まれているため、風も弱い。それに昼どきで太陽も高く、校舎の間にも日が差していた。

「ここはあったかいなぁ」

 ソニアはラムリーザにくっついてきて、なんだか嬉しそうだ。

「しかし何でここに入っちゃダメなんだろうね」

 立札には「入るべからず」とある。芝生の養生中なのだろうか?

「冗談の立札じゃないの?」

 ソニアは先程の立札を指さしてそう言った。

「なんで冗談で立札を――」

 ラムリーザはそう言いかけて、口をつぐんだ。立札の裏には、「この芝生から出るべからず」と書かれていることを思い出したからだ。

 外側から見たら入るべからず、内側から見たら出るべからず。この芝生に入り込むと、出られなくなる。これではまるでブラックホールだ。

 そこに、タイミングよくリリスとユコがやってきた。一週間ほど無断欠席していたリリスも、いったん登校を再開すると、その後は惰性のように学校へ来ている。

「あっ、入っちゃダメ!」

 ユコが柵を跨ごうとしたところで、ソニアはまるで猛獣のように威嚇する。

「後悔することになるよ、立札を見てごらん」

 別に超自然的な力で行動を制限されているわけではないが、ラムリーザはこの場所から動けなくなったので、二人にも警告してやる。

「この芝生に入るべからず?」

 リリスは立札を読み上げた。

「なんで二人は入っているんですの?」

「僕にもよくわからないけど、ソニアにそそのかされて――」

「あたし悪くない!」

 もちろんそんな警告に素直に従う二人ではない。リリスとユコの二人は、普通に柵を跨いでラムリーザたちのそばにやってきた。ソニアはラムリーザにしがみついて、二人に「シッシッ」と追い払うように手を振っている。

 そんな追い払い方で引き返す二人でもなく、そのまま輪になって座ることとなった。

「あーあ、入ったね。君たちももう終わりだよ、立札見てごらん」

「この芝生から出るべからず?」

「別にいいですの。ここでラムリーザ様と永遠の時を刻むんですの」

「なんでそうなる」

 自然と雑談は――嘘です。ソニアとリリスが口論を始めたら鬱陶しいので、ラムリーザは先手を取り、降竜祭の話をリリスに振った。

「ジャンとうまくやっているかい?」

「たぶんね」

 リリスはあいまいに答える。しかしその表情は、いつもの妖艶な笑みだ。

「実行委員、やるます!」

 ソニアがまた要らんことを言うので、ラムリーザはソニアの頭を抱えて黙らせる。

「そうそう、神帰の月・賢者の日に決まったわ」

「それっ――あたしの誕生日!」

 ラムリーザに抱えられながらも、ソニアは途切れ途切れに言葉を発する。

「その日はソニアの身体に竜神テフラウィリスが降臨して、身体が人間で、顔だけドラゴンになるのよ。くすっ」

「何その化け物!」

「雌の人魚は上半身人間で、下半身が魚になるのに、なぜ雄の人魚は上半身が魚で下半身が人間になるのだろうね」

 ラムリーザは、何かの空想図鑑で見たような話を、ふと思い出して口にした。

「ラムリーザ様、それ、後者は人魚ではなくて半魚人ですの」

「んじゃ、雌の半魚人や、雄の人魚もいるのか?」

「人魚は女性社会だから、表に出てくるのは女性体だけ。逆に半魚人は男性社会なので、表に出てくるのは男性体のみ。雌の半魚人や雄の人魚は、巣の奥でおとなしくしているんですの」

「そんなものでいいのかねぇ……?」

 よくわからないけど、ラムリーザはユコの説明で納得することにした。

「つまりソニアは、半人半竜の化け物になるのよ、くすっ」

「何よ! リリスは半人半吸血鬼の化け物のくせに!」

「半分吸血鬼って何だよ?」

 思わず突っ込んでしまってから、ラムリーザはしまったと思う。この場面は、ソニアの頭を抱え込んで黙らせるのが得策だったのに。

「吸血鬼は相手の首に牙を刺して口から吸血するけど、リリスは半吸血鬼だから、相手の頭を尻に突っ込んで尻から吸血するの!」

「気色悪いですわね!」

 変な方向へと話が進んでしまった。降竜祭の話を振ったはずなのに、なんでこんな意味不明な会話になっているのだろう。そもそもどういう構造なんだ――などと考え始めて、それではソニアの戯言に付き合ってしまうと思い直して、ラムリーザはソニアとリリスから顔をそむけた。その先には、ちょうどリゲルとロザリーンの二人が立っていた。

「結局、ラムズ・ハーレム復活したな」

 リゲルはニヤリと笑って、こちらを見下ろしている。

「ハーレムじゃないよ。ソニアとリリスが喧嘩しているだけだよ。ってか、ジャン遅いよ。早くリリスを引き取ってくれ」

 二人と一緒に、ジャンもここへ来ていた。

「慌てるな。今はまだお前に預けておくさ」

「なんだそりゃ!」

 そんなことを言いながらも、ジャンは何のためらいもなく柵を飛び越えて芝生に侵入してしまった。そしてちゃっかりとリリスの隣に座り込む。これのどこが預けているのだろうか。

 続いてリゲルも柵を乗り越えるが、ロザリーンはみんなと立札を見比べながら戸惑っているようだ。優等生ロザリーンは、立札に書かれている注意書きを気にしている。

 リゲルは、迷っているロザリーンに気がつくと、素早く手をつかんで芝生の中へと引き込んだ。ロザリーンは困ったように再び立札に目をやるが、内側の文言を目にして、今度は困惑したように首をかしげた。

「なによもー、いっぱいぞろぞろ入ってきてー」

「内気な風船少女は、周りに人がたくさんいるとパニック引き起こすのよね」

「吸血鬼は穴掘って埋まってろ!」

 そこでリリスは、わざとソニアに抱きついてみせる。

「まとわりつくな、うっとーしい!」

「輪から出たら鬱陶しくなくなるぞ」

 リリスがソニアに抱きついている状況をジャンがどう思っているのかは分からないが、本人はいたって冷静に助言している。

「やだ! リリスが吸血鬼なら、ジャンは吸血狼男! 化け物が出ていけっ!」

 ソニアはラムリーザにしがみついて、まとわりついているリリスを蹴って引き剥がそうとする。

「あーっと、タックルからマウントポジションを取ろうとしているリリスを、ソニアは蹴って逃れようとしているーっ」
              
立入禁止の芝生で顔を抱えるラムリーザのそばにソニアとリリスがまとわりつき、ジャンたちが見守る様子をミーシャがカメラで撮影する場面
 なんだか甘ったるい声で実況中継みたいな台詞が聞こえたかと思ったら、いつの間にか芝生の柵の外にマイクとカメラを持ったミーシャとソフィリータが立っていた。そんな撮影機材を学校へ持ってきて、没収されないのだろうか?

 撮影されていることに気がついたリリスは、素早くソニアから離れて姿勢を正したが、すでに遅かった。キャットファイト(?)は、すでにしっかりカメラへ収められた後だ。

「なに集まってんのー?」

「媚び媚び娘は侵入禁止だからね!」

 ソニアは先制攻撃を仕掛け、ミーシャを芝生の中へ入れさせまいとする。

「ふえぇちゃんは入ってもいいのー?」

 ミーシャも負けていない。軽やかなステップで柵を飛び越えて、ソニアの後ろに回り込んで後ろから抱きついた。

「そんなのはいない! ――って引っ付くなうっとーしい! カメラ近づけるな!」

 何だかんだでソニアは人気者だ。ソフィリータもカメラを構えたまま入ってきて、ラムリーザの隣に座り込んで、その位置からソニアとミーシャのじゃれ合いを撮影している。

「ミーシャちゃんホールドが決まったーっ」

 ミーシャは自分で実況しながら、ソニアに腕や足を絡みつけて締め上げ始めた。

「ええいっ、うっとーしい!」

 ソニアがミーシャの腕を振りほどく。ミーシャはスピードと柔軟性には人並み以上のものがあるが、残念ながら筋力は人並み以下だ。ちょっと引っ張ればすぐに引き剥がせる。

「そして、矢継ぎ早にまたもや魔性のスリーパーホールドだーっ」

 しかしミーシャは諦めていない。ソニアの腕に絡めていた腕を外すと、今度は首に絡めつけた。足も胴を締めているので、いわゆる胴締めスリーパーホールドといったところか? ソフィリータも、ラムリーザの横から身体を乗り出して、しっかりと撮影している。

「この氷柱の妾がっ!」

 ソニアは怒って、今度はミーシャの足に手をかけて、胴締めを外そうとする。しかしミーシャも足を絡めて振りほどかれないようにしていた。そこでソニアは作戦変更し、ミーシャの太ももに手を伸ばして――

「あ、危ないっ」

 ソフィリータが小さくつぶやいた。彼女だけは知っていた、この先ソニアが何を仕掛けるのかを。

「えっ? ええっ? ふえええっ?」

 まるでソニアみたいな驚いた声を上げて、ミーシャはソニアから離れた。ソニアは大したことをしたわけではない。しかしそれは、変態的な嫌がらせとしては効果的なものだった。

 ミーシャの履いていたサイハイソックスは、両足ともくるぶし近くまでずり下げられていたのだ。

「またやってる、この変態乳牛」

 リリスが嫌そうにつぶやく。この手のソニアの変態攻撃を最も多く食らってきたリリスだけに、うんざり度はみんなのなかで最大だった。ジャンなどは、むしろ面白そうに笑っていた。

 しかも、その変態行為はバッチリとカメラに収められていた。

 さてミーシャは、この事件を編集してカットするか? それともおいしいネタとして扱い、表に出してくるか? そこは動画編集者ミーシャとしてのセンスにかかっている。

「ソフィーちゃんも、ラムに引っ付くな!」

 必殺技を繰り出してミーシャを撃退したソニアは、今、一番ラムリーザに接近している娘に噛みついた。

「ソニアお姉様は狭量ですね。お兄様に近づいて何が悪いのですか?」

「ロザ兄と付き合っているくせに――」と言って、ソニアはソフィリータからカメラを奪い取る。そして距離の近いラムリーザ兄妹を映しながら「浮気現場の証拠を撮影してやった! これをロザ兄に見せつけてやる」と凄んだのである。

「自分がどうかしたのかな? ――っておやおや、この芝生には入るべからずなのに」

 タイミングが良いのか悪いのか、そこにユグドラシルが登場した。

「恋人をラムに取られた、フラれ先輩は立ち入り禁止!」

 そしてまたしても、侵入を拒むソニア。彼女は、ユグドラシルがソフィリータにフラれて、ソフィリータはラムリーザの元へと駆け込んだと宣言した。

 むろんそうなれば、ラムリーザは妹と付き合うこととなり、ソニアもフラれてしまうのだが、そこまで考えて発言するような娘ではない。

「楽しそうだから、生徒会長権限で芝生に入ることは許可しよう」

「あっ、生徒会の権限は、規則を破らせるためにあって、守らせるためにあるんじゃないんだ」

「暗殺されたくないからね」

 ユグドラシルはふふっと笑った。物騒なことを言うものだ。

「ところで先輩、なぜ芝生に入ったらダメなのですか?」

 妙な展開が続くので、ラムリーザは真面目な質問でこの場の空気を正そうとした。

「着色中だから」

「は?」

「この時期になると、芝生も元気がなくなって枯れが目立つので、緑のペンキを塗ってごまかしているのだよ。だから乾くまでは入ったらダメなんだ」

「ちょっと待ってくださいよ!」

 ラムリーザは慌てて立ち上がる。制服の裾やズボンに緑のペンキがべったりと――ついていなかった。

「あっはっはっは、引っかかった! そんな馬鹿なことやるわけがないじゃないか。いや待てよ? どっかの国ではやってたっけ?」

 してやられたラムリーザは、ブスッとして座り込むしかなかった。

「そんなことよりもロザ兄、ソフィーちゃんが浮気――」

 そう言いかけて、ソニアは口をつぐむ。

 ユグドラシルは、ソフィリータの隣に腰を下ろしている。だからソフィリータは、ラムリーザとユグドラシルの両方のそばにいる格好となった。これでは浮気の現場とは言いにくい。

「この二股ソフィー!」

 ソニアはそう言い捨てるのがやっとだった。

 最初はラムリーザとソニアの二人だけだったはずだ。それが今では、芝生の上に知った顔が次々と増えている。誰かが誰かに絡み、誰かが勝手に実況し、誰かが立札のことなど忘れたように座り込んでいる。

「なんだかんだで、これで全員集合かよ」

「大所帯になったな」

 ラムリーザとジャンは、周りを見渡して感慨深そうにつぶやいた。もはや昼休みの中庭は、いつもの面々を無理やり一か所に押し込めた、さながらパーティー会場のような賑やかな雰囲気になっていた。これがもう数か月あとなら、早春の花見パーティーとも言えそうな感じだ。

「番長がいない。あいつ、いたら危ないから、別にいなくてもいいけど」

「なんでですの?!」

 この場にいない相手をぞんざいに扱うソニアと、なぜか怒るユコであった。

「おいっすー!」

 噂をすれば、なんとやら。そこにタイミングよくレフトールが現れた。

 彼は今は子分を二人率いている。ナンバー2のマックスウェルと、その他大勢代表格のピートだ。実はこの二人だけは、他の仲間と違ってレフトールと同じクラスだったのだ。

 レフトールが何のためらいもなく芝生の柵を越えようとするので、ソニアはすぐに噛みついた。

「立札読めっ! ここは立ち入り禁止!」

 レフトールは「んん?」と立札に目をやる。それから芝生で賑わっている一同に目をやって、再び立札に目をやり、またみんなのほうに目を戻した。

「立ち入り禁止の柵、みんなで越えれば怖くない」

 結局レフトールたちも、立札の警告を無視して入ってくるのであった。

 レフトールは、ラムリーザの周りはすでに固められているので、仕方なく少し離れた正面に座った。

「おい、おっぱいちゃん。試験の結果出たよな? 俺はお前に何点差で勝ったかな?」

「知らない」

 ソニアはとりあえず赤点は免れている。リリスも赤点だったという話は聞かないあたり、ジャンと真面目に試験対策をしていたのだろう。

「俺が勝ってたら、付き合ってもらう約束だったよな」

「変態番長近寄るな! 変態番付の筆頭にしてやる!」

「なんですの? その変態番付って」

 気にしなくてもいいのに、ユコはソニアの適当に言い放った単語を深く掘り下げるようだ。ラムリーザは、どうせちんぷんかんぷんな展開になるよ、と思っていたが口にしない。あまりにも酷ければ、ソニアの頭を抱えて黙らせるだけだ。

「いっちばん変態なのが、変態元帥なの。あたしの胸を触ったら番長は変態中将に任じられるの」

「ほー、中将か。司令官クラスで、十分偉いじゃねーか。元帥に昇進するにはどうすればいい?」

 聞かなくてもいいのに、レフトールはソニアの適当な設定に乗っかってしまった。

「レフトールが女子生徒のスクール水着を着て、学校の校舎に侵入して、廊下で勝利のポーズを決めながら『気持ちえーな』って言えば元帥に昇進!」

「うわぁ……」

「うわぁ……」

 数か所から、小さい声で「ドン引き」といった声が漏れる。いつもぶっ飛んだ発想をするソニアだが、今回のものはいつもに増して狂気の度数が高い。

「そんな設定、よく思いつくわ」

 レフトールも今回はソニアとの舌戦に敗北。十科目の試験千点満点中、レフトールは892点。ソニアは548点。単純計算で344点レフトールの勝ち。約束に従えば、レフトールはソニアと交際できることになる。しかし、ソニアの設定した内容があまりにも常識外れだったので、交際の約束を持ち出す気も、どこかにすっ飛んでしまった。

「俺、戦死して二階級特進で元帥に昇進するほうがマシだな」

 ジャンも冷静に意見を述べているが、そもそも昇進先が「変態番付元帥」であることを忘れているようだ。

「狂った設定を語るのは、この口かー?!」

 ラムリーザは、変態設定を堂々と作り上げた恋人を懲らしめるために、その口に右手を当てて握りこむ。マンディブルクロー!

「ふえぇっ!」

 くぐもった声で悲鳴を上げるソニア。

 ラムリーザの予想通り、ちんぷんかんぷんな展開になったが、みんなで一緒にいるのは楽しいことだ。

 誰かが叫び、誰かが笑い、誰かが怒り、誰かが勝手に撮影している。そこにはまとまりなど、どこにもない。それでも今この場所には、確かにいつもの面々がそろっていた。

 みんなで一緒にいよう。――それでは皆さんご一緒に!

 

 オール・トゥゲザー・ナウ!

 トゥース・アンケー・マントゥナン!

 ウン・ジェツト・アレ・ツザメン!

 イ・チペーリ・フショヴミースチ!

 ティオラ・オリマズィ!

 クワパモーザ・サーサ!

 たろどひむにしっざうゃす?ぬ!

 ホエベマイハランゾミッキョシ!

 それでは皆さんご一緒に!