ラムリーザ・サーガ フォレストピア創造記

The Ramlyza Saga – Forestpia Chronicle


TRPG第一弾「死と埋葬」 第一話後編 夜の襲撃者

帝国暦九十二年 静寂の月・氷狼の日(現代暦:十二月上旬)

 ラムリーザ、ソニア、リリス、ロザリーンの四人は、十六歳の駆け出し冒険者である。すっかり顔馴染みになっていた四人は、今日も冒険者の酒場で次の仕事を探していた。

 ソニアとリリスは、勇敢なのか無謀なのかわからない戦士であり、ロザリーンは竜神テフラウィリスに仕える竜巫女。そしてラムリーザは、冒険に憧れていた魔導師学校の生徒だった。

 そこに、顔馴染みの詩人ユコが現れた。田舎の村フィオリーナで、人が何者かに襲われる事件が発生していて困っているという話を聞いた。

 そこで一同はフィオリーナへ向かった。だが、非協力的な村長の相手はひとまず後回しにした。自警団員のシェリフとともに、意識を取り戻した被害者がいる病院へ向かうことになった。

 

「そういうわけで、お前らは病室に来た」

 リゲルは少しばかり笑みを浮かべたまま、ゲームを進めていく。

「なんだよ、妙に楽しそうにしてるな。……で、フレディだっけ? 彼の様子はどうなんだ?」

「病室には、全身に包帯を巻いた人が横たわっていた。さらに、被害者の所持品らしい画材などが、焼け焦げた状態で置かれている」

「ひっどいな、顔は分かるのか?」

「顔も包帯でぐるぐる巻きだ」

「…………」

 炎でやられたということは、敵はドラゴンか何かだろうか。それとも、強酸を持つ魔物か……。そんなことを考えて、ラムリーザは顔をしかめた。

「ええと、治療はできますか? 一応、回復魔法が使えるプリースト技能を持っていますが」

 ロザリーンは尋ねたが、リゲルは「治療して、この状態だ」と答えた。

「もー、なんかリゲルの話、嫌! 怖いよ!」

 黙りがちだったソニアが文句を言ったが、リゲルはフッと鼻で笑って話を進めた。

「そこにいた医者が、話があると言って、お前らを医務室へ連れていく」

 ソニアはふくれ、リリスもつまらなそうにダイスを転がして遊んでいる。やはりこの二人は、バトルにしか興味がないようだ。

 その一方で、ユコとロザリーンは、こういったシティアドベンチャータイプの展開に乗ってきているようだった。

「それで、医者は何て? 被害者の容態は?」

 ラムリーザの問いにリゲルは、「一命は取り留めたが、話を聞くことはできない」と答えた。

「ええと、記憶喪失ですか?」

 ロザリーンの問いには、「彼は喉を深く傷つけられていて、声が出ない」と答えた。

「うわっ……」

 ラムリーザが少し引いた隣で、ソニアが爆発する。

「何よリゲル! グロい話ばっかりして! もう嫌!」

「そうね、リゲルはちょっと悪趣味だわ」と、リリスも同意する。

 ラムリーザは、ソニアをなだめようとしていたが、ふとユコが何か考えているような表情をしているのに気づき、「何か気になるのか?」と聞いてみた。

「いえ、先ほどの村長邸にあった遺体も、身体の一部がなくなっていたみたいですので、妙な符合だなと思いまして」

 ユコの話を聞いて、ラムリーザはなるほどと思った。

「まさか、犯人は人体の一部を少しずつ繋ぎ合わせて、人造人間を作ろうという魂胆じゃないのかな?」

 そうつぶやいてから、そんな馬鹿なことがあるか、と自分で打ち消した。

「ええと、筆談……しようにも、全身火傷ではペンも持てませんね、どうしましょう……」

「そうだな、いろいろ質問してうなずいてもらえばなんとかなるかも。詳しくは無理だが……」

「そのとき、医者の机の上に置いてあった小さな水晶球が光を帯びた」

 ラムリーザとロザリーンがいろいろと相談しているところで、リゲルは新たな展開を示した。

「何ですの? 光り物はいただきますわ」

「患者の容態が変化すると、この水晶球が光るようにしてあったわけだ。便利な魔法道具のようなものだな」

「悪化したのか? それはまずいぞ」

「すぐに見に行きましょう」

「さてと――」

 リゲルは、口元だけ笑って話を続けた。

「病室に入ると患者、誰だったっけ……そう、フレディだ。フレディの眉間に、ダガーが深々と突き刺さっていた」

「ちょ……」

「リゲルの馬鹿!」

 ソニアは、先ほどから文句ばかり言っている。横からラムリーザに引っ付いて、リゲルから顔を背けてふくれている。

「今さっきだよね? 犯人はまだ近くにいるのか?」

「私はダガーを調べますわ」

「ダガーは、どこにでもあるような、ごく一般的なものだ」

 リゲルは、ソニアの悪態を気にすることもなく、ゲームを進めていった。ソニアはラムリーザにくっついたままだし、リリスはすでに地蔵プレイヤーと化していた。

「えっと、ダガーに毒とか、何か手紙みたいなものは残ってない?」

 ラムリーザは、くっついてくるソニアを押し返そうとしながら尋ねた。ソニアは推理を放棄して、現実でラムリーザといちゃいちゃすることを選んだようだった。

「毒も手紙もないな。窓には鉄格子がはまっている」

「そっか、犯人は窓から入ってきたわけではないんだな。……ってか、眉間に刺さっているのなら、毒とか関係ないな」

「ダガーは、スローイングダガーですの?」

「いや、窓から投げ込むには角度的に問題がある」

 ラムリーザやユコの質問に、リゲルは淡々と答えていく。

「犯人はリゲルなんでしょ」

「医者は苦悩した様子で、村長を呼ぶしかないと言い出した」

 ソニアの横槍を気にすることなく、リゲルの物語は進んでいく。

「待って、殺人のようですから、葬儀はまだじゃありませんか?」

「せっかくだから包帯を取って、傷跡を見せてもらおう……と言っても、後で殺すなら、喉を深く傷つける意味がわからんなぁ……」

「とりあえず医者は村長を呼びに行き、自警団員のシェリフは周辺を調査しに出ていった」

「今は葬儀屋より傷の検証をしてもらいたいのですけどね」

「暇だから、ソニアを後ろから蹴っ飛ばしてみるわ」

「な、何よ! リリスに攻撃する! この場合どうやったらいいの?」

 考えることが苦手で、暇をもてあましたソニアとリリスが騒ぐ中、ラムリーザは一人考えていた。

 医者を装えば、外部の者でも侵入はできそうだ。だが魔法使いなら、わざわざダガーを使う理由が薄い。

「誰が、どこから侵入したものか……」

 リリスと一緒に、ダイスの目が大きいほうが勝ちという遊びを始めたソニア。その隣で、ラムリーザはつぶやいた。

「そのとき、自警団員のシェリフが戻ってきて、『近場を調べてきましたが、犯人は堂々と入り口から入ったとしか考えられません』と言う」

「え……堂々とってことは、この村に犯人が?」

「怪しい目撃者はいなかったか? とシェリフに聞いてみる」

「内部の犯行という可能性もありますわね……」

「やった、あたし五でリリスは三だ」

 ラムリーザの問いに、リゲルは「看護師が一人いたが、彼女は『知らない』と言っている」と答えた。

「あれ? 私たちが病室から医務室に移ったとき、病室には患者だけだった……のですよね?」

 ロザリーンの問いには、「患者一人だった」と答える。

「でも、時間的に患者が一人だった時間は短いのではないでしょうか? なのに目撃者もなく堂々と正面からって?」

「何ですの、さっぱりわからないですわ」

「やった、あなたは一ね。何が出ても負けはないわ」

 すでに、ゲームに参加している者と、他のことで遊んでいる者に分かれてしまっていた。

「そのとき、医者が村長を連れて戻ってきた。その医者は、『遺体は、葬儀屋を兼ねている村長に引き渡すことになっている』と言う」

「駄目ですね。明らかに人為的に殺されてますので、慎重に調べてからですね」

「まぁ、調べてからだな」

「医者は、『火傷によって重態となり、死因は眉間のダガーというのは間違いないと思われる』と答える。さらに村長は、そろそろ遺体を引き取ってもいいかな? と尋ねてきた」

「いや、ちょっと待てよ。さっき村長のところにいた夫人の遺体もこの病院から引き取ったものなのか?」

 ラムリーザの問いに、リゲルは「夫人はすでに死んでいたので、現場から直接引き取った」と答える。

 ゲームに参加していないソニアとリリスをよそに、ユコとロザリーンは顔を近づけてひそひそと囁きあっている。

「この村長、どうしてそんなに遺体を引き取りたがるのでしょうか?」

「死体愛好家じゃないんですの?」

「気味が悪いですね……」

 そのとき、ゲームマスターのリゲルは、ダイスを転がして遊んでいるソニアとリリスをじっと見つめていた。それを見かねて、二人に唐突に声をかけた。

「おい、ダイスで遊んでるお前ら。真面目にゲームしている二人の間で遊んでるのは邪魔だ。ユコ、ロザリーンと席を替われ」

 ラムリーザから見て左側の一人掛けの椅子に、リゲルは腰掛けている。二人掛けのソファーでラムリーザの右隣にいるのはソニアだ。正面にリリス、その隣にユコ。リゲルと向かい合った単座席にロザリーンという配置になっているので、リゲルの言うとおり、ダイス遊びの二人がゲームに参加しているユコ、ロザリーンを分断している形になっているのだ。

「席を替われって何よ」

 ソニアは、リゲルを睨みつけて文句を言う。

「お前とロザリーンが場所を替われ。それで、ユコとリリスも座席を替われ」

「やだ! ラムの隣は誰にも譲らない!」

 揉めだしたことを察したラムリーザは、二人が遊んでいるダイスをすばやく奪い取り、「ゲームに参加するか、もう帰るかどっちかにしろ」とソニアに言う。

「むー……死体を綺麗にできるんだったら、今この場でやってみろ!」

 一応話は聞いていたようだ。

 だがリゲルは、「シェリフは、ここでは無理だ。村長の屋敷に運ばないと道具がない、と答えた」と言った。

「それで、どういう依頼だったかしら? 何を調べたらいいの?」

 ダイスを奪われたリリスは、仕方なさそうにリゲルに尋ねる。

「フレディを焼いた犯人を突き止めてもらいたかった、と自警団員のシェリフは答えた」

「今のところ、手がかりがなさすぎるんだよね」

 ラムリーザのつぶやきに、リゲルは「シェリフも手がかりなさすぎて、途方に暮れている」と答えた。

「普通に考えて魔道士と喧嘩したら、ファイアーボールを食らうこともありますわね」

「とりあえず、現場検証しよう。フレディが襲われた川岸と、夫人が襲われた通り。どちらか片方だけでも見ておきたいな。ところで今、何時? もう日が暮れそう?」

「そろそろ日暮れだな」

 ラムリーザは、日暮れということで川岸は明日に回して通りから調べてみようと考えた。道行く人に聞き込みでもすれば、何か手がかりがつかめるかもしれない。

 リリスは口元に手をやって小さくあくびをし、ソニアはリゲルをじっと睨みつけている。

「ええと、殺されたときの目撃者はいないんですの?」

「聞き込みをしてみたが、道行く人々は目撃どころか、そのような事件も知らないなどと言っている」

「きな臭くなってますね……」

「襲われた時間は?」

「自警団員のシェリフは、『細かい時間まではわからないが、夜に襲われたのは間違いない』と答え、遺体を村長邸に運ぶため、お前らと別れていった」

「夜か……」

 ラムリーザは、隣に引っ付いてきたソニアを押し戻しながらつぶやいた。リゲルを睨みつけるのに飽きたのか疲れたのか、ソニアはラムリーザに引っ付いてきて再びいちゃつこうとしている。

「おら、暇人二人。お前らの出番作ってやる。辺りが完全に暗くなったとき、何者かが襲いかかってきた」

「誰ですの?!」

「一番近くにいたユコに、『笑え……』と言いながら攻撃してくる。ほら回避ロール(回避判定)しろ」

 リゲルの転がしたダイスは、二と四の目が出ている。ユコもすぐにダイスを転がし、その目は一と六だった。
              
辺りが完全に暗くなったとき、何者かが襲いかかってきた場面
「回避したな、運のいい奴だ」

「『笑え』ですの? それより前衛、出てくださいまし!」

「戦い?」

 ソファーの背もたれにもたれかかってぼんやりしていたリリスは、急にガバッと身を起こしてダイスを二つ握り締める。

 リリスは命中ロールと攻撃ロールを行い、いきなり襲い掛かってきた通り魔に四点のダメージを与えることに成功した。

「調子に乗るなよ」

「あたしも攻撃する!」

 ソニアもダイスを転がしたが、命中はしたものの受け止められてしまった。

「事情を聞きたいです。二人とも殺さないでくださいよ」

「何が目的ですの?!」

「謎の襲撃者は、無言で襲い続けている」

 リゲルは淡々と通り魔の戦闘ロールを繰り返しているし、ソニアとリリスの二人も、アドベンチャーロールでは退屈そうにしていたが、戦闘となるとそれなりに楽しいようだ。調子づいたリリスは「入ります」とか言いながら、リゲルと同じように戦闘ロールを繰り広げている。

 戦闘はターン制で、一通り行動を宣言してから行う。

 主にソニアとリリスが前に出て戦い、敵の攻撃も二人に集中している。二人の生命力が減ると、回復役プリーストのロザリーンはすぐに回復を行う。ラムリーザとユコの二人は、戦闘ロールとなると、あまり出しゃばらずに傍観気味だ。

「えーと、ファイアーボールとか飛ばすべきかな?」

「いえ、敵は一人ですし、リリスとソニアの二人でなんとか戦えているから、ラムリーザ様は控えていていいですの」

「そうか、まぁそれでもいいけどね」

「しかし、あの通り魔に正気はあるのでしょうか……?」

 戦闘は、しばらく淡々と続いていた。このままソニアとリリスに任せたまま終わるのだろうか? しかし、意外なところから戦闘は変な方向へと進み始めてしまった。

「お、ファンブルだな。ソニアの攻撃は通り魔にかわされてリリスにヒットした」

 リゲルは、妙に嬉しそうに宣言する。どうやら判定により、同士討ちが起きてしまったようだ。

「な、なにそれ?」

 リリスは一瞬あっけにとられたが、すぐに怒りの矛先をソニアに向けた。

「あなたね、敵味方の区別がつかないのね、ちょっとお仕置きが必要かしら」

「な、なによ。あたし悪くない。リゲルが勝手にそう判定した!」

 リリスは軽く笑みを浮かべ、リゲルに宣言する。

「ソニアを剣の柄で殴るわ」

「ちょっと待てよ」

 ラムリーザは慌てて止めるが、リリスは知らん振りだ。

「それなら命中判定だ、ダイスを振れ」

 リゲルは、この仲間割れを楽しんでいるかのように判定を促し、リリスはそれに従いダイスを転がした。

「ん、ソニアの回避力と比べると……回避したな」

「あっ、リリス裏切った! あたしもリリスに攻撃する!」

 そういうわけで、ソニアとリリスは、通り魔のことをすっかり忘れてゲームの中で喧嘩を始めてしまった。

 リリスはソニアの攻撃を回避すると、今度は「正面から剣の腹でソニアの膝元を強打する」と言い出した。

 リゲルは再び命中判定を促すが、「風船おっぱいお化けは足元が見えないから回避できない」などと言い出すのだ。どうでもいいが、ソニアがゲームで使用しているキャラも、風船おっぱいお化けだと言うのだろうか。

 怒ったソニアはリリスを目がけてダイスを投げつける。リリスは素早く受け止め、ソニアに投げ返す。ソニアも受け止めて、また投げつける。

「えーと、戦闘を再開してもいいかな?」

 ラムリーザは、遠慮がちにリゲルに尋ねた。敵は一人だから、ソニアとリリスが抜けても何とかなると考えたのだ。こうなったら、ゲームを超越した戦いを繰り広げている二人に期待することはできない。

 リゲルは別世界へ行ってしまった二人を鼻で笑うと、ラムリーザたちのほうへと向き直った。罵り合いを続けるソニアとリリスを尻目に、ラムリーザ、ユコ、ロザリーンの三人は、通り魔との戦いを再開した。

 戦闘がしばらく続いた後、ロザリーンのクリティカルヒットが出た。そこでリゲルは、ラムリーザたちが戦闘に勝ったことを宣言した。

「よし、ロザリーンの攻撃で通り魔のダガーを持った腕を切り落とした。そのまま通り魔はどこかへ姿をくらましてしまった」

 ソニアとリリスはまだ喧嘩中だが、とりあえずは通り魔を撃退することに成功したようだ。ラムリーザたちは、後に残されたものについて、話し合いを始めた。

「このダガーと腕は、手がかりになりそうですね。気持ち悪いけど……」

「ラムリーザ様、証拠品の管理をお願いしますわ」

「えーと、とりあえず腕と武器を拾う、かな」

「その腕におかしなところはありますか?」

 リゲルはラムリーザに知力ロール(知力判定)をするように促したのでダイスを転がしたが、結果として何も分からなかった。

「そこに、村長邸に遺体を届け終えた自警団員のシェリフが戻ってきた」

「彼に先ほどの出来事を話しますわ」

 ユコは一気に語りそうになるが、リゲルはすぐにそれを制する。

「語らんでよい。シェリフには伝わった、それでいい」

「ああ、あと一言。『笑え』って言葉を発していましたわ」

「その一言に、シェリフは眉をひそめただけだった」

 そのとき、ロザリーンは何かにふと気がついたようにつぶやいた。

「フレディを焼いたのは、さっきの通り魔と別の者がやったかも。だって、あの相手は火を使ってくる気配が全然なかったですし」

「ん~、複数の犯罪が同時に起きているということかな?」

「いや、通り魔はダガーを使っていた。フレディもダガーによって殺された……」

「とりあえずこの証拠品は、シェリフに預けて、村長か医者に調べてもらおう。ここで一旦切らない?」

 ラムリーザは、窓の外を見つめてそう提案した。ゲームの中の時間と同じように、気がつけば外はもう真っ暗になっていた。そろそろ学校から帰る時間だ。

「さっきの通り魔の背後に、何者かがいるかもしれませんわね。でも、また今度にしましょうか」

 ユコも、ラムリーザに同意する。

「それじゃあ今日はここまでにして、続きはまた後日にやろう」

 そう言ってリゲルは、ルールブックを鞄にしまいこんだ。

 ひとまず区切りの良いところなので、続きはまた今度ということで今日はここで切り上げ、それぞれ帰途についた。

 こうして――テーブルトーク同好会が静かに産声を上げた日だった。

 ただし、仲間割れを起こした二人が次も参加するかどうかは、わからない……。

 帰り道、ラムリーザは、今日の卓の光景を反芻していた。

 ソニアとリリスは露骨に嫌がっていた。確かに、血と欠損と、それを笑いながら語るリゲルは、趣味が悪いと言われても仕方ない。

 それでも得体の知れない村、話せない被害者、そして「笑え」と囁く襲撃者。怖いはずなのに、続きを知りたい自分がいる。

 テーブルトークゲームというのは、こういう感情まで卓の上に引きずり出してしまう遊びなのかもしれない。